こんにちは、金田です。
今日も当サイトにアクセスいただき、ありがとうございます!
本日お送りしたいテーマは「アンゾフのマトリックス」、です。今日も自分独自の実体験をベースに3分程度で読める内容にまとめました。では、はりきっていきましょう!
今週は事業戦略編でまとめていきたいと思います。
まずはそれぞれ一般論の説明をまとめて、その後実務的な観点をまとめてみようと思います。
さて、事業戦略を考える上で、有効的なフレームワークの一つが「アンゾフのマトリックス」です。ぜひ経営本やMBAでもでるので名前とそのポイントを覚えておいて損はないです。
これは、シンプルながらに非常に実践的に使える戦略フレームワークです。
ただ、市場と製品の2軸で考える、戦略オプション(複数の打ち手)を考える、くらいしか説明がなく、これ以上についてポイントをまとめた本や説明はみたことがありません。
だから折角使えるフレームワークですが、腹に落ちずに、「実用的でない」「とりあえず知っておく」くらいで終わってしまいます。
もう少し深堀してまとめてみます。
アンゾフのマトリックスとは
事業戦略を策定する際に、戦略の打ち手のオプション (選択肢)を幅広く考え、どのオプションにどのような経営資源(予算や人材など)の配分を行うか?を議論する際に有効的な分析手法です。
非常にシンプルなマトリックスですが、視点に漏れも、抜けもないのです。
具体的には、
- 縦軸に事業(あるいは製品)の既存・新規
- 横軸 に市場の既存・新規
を置き、2軸のマトリックスで市場機会や打ち手を考えます。
既存市場・既存製品 (市場浸透戦略)・・・左上
市場浸透戦略とは、現状の事業・商品と市場のままで、売上高や顧客内シェアを上げていくことにより成長を図ろうとする戦略のことを指します。
一般的に戦略というと、つい新しい市場や新規開拓をイメージしますが、既存市場/既存顧客にアプローチするのも立派な戦略です。ただ闇雲に既存顧客をケアするという発想ではなく・・・戦略的に!です。(つまり仮説を持つということですね)
例えば、同じ市場シェアという概念でも、
Share of Wallet (財布内シェア)
という言葉を聞いたことはありますか?この用語は戦略策定プロセスでよく出てきます。
例えば対象顧客の全従業員数から、販売した従業員数を引いた数が販売機会になります。(1社当たり販売機会=全従業員数-購入した従業員数)
もう少し実務的に書くと、この1社当たりの販売機会を、全既存顧客分で合計すると既存顧客内市場規模が算出できます。
この結果と新規市場参入の市場規模(販売機会)と比較してみます。
当然、同じ市場規模の場合は市場浸透戦略のほうがリスクが低い分、リソース配分の判断がつきます。市場浸透戦略のポイントは事業リスクが最も低い点にあります。
したがって、既存の市場規模が拡大している場合や自社の製品に十分な競争力があって市場シェア向上の余地がある場合は市場浸透戦略は有力な選択肢といえます。
しかし、既存の市場が縮小傾向である場合や、自社の市場シェアが低下しているような場合は、市場浸透戦略以外の戦略を検討する必要があるでしょう。
既存市場・新規製品 (新製品開発戦略)・・・右上
新しい事業・商品分野を開発し、既存の市場に対して適応させていくことで成長を図ろうとする戦略のことを指します。つまり既存顧客に対して提案の領域を広げるための新製品の開発(R&D)がこのケースにあてはまります。
例えば、液晶テレビに対して、それに対応したブルーレイディスクが市場に投入されていますが、これは新製品を既存の顧客に販売することによって売上を拡大する新製品開発戦略をとっています。さらには液晶テレビとブルーレイ一体のコラボレーション製品が提供されていますが、これはさらなる新規顧客の囲いこみに使われる戦略と考えられます。
新規市場・既存製品 (市場開拓戦略)・・・左下
これは既存の事業・商品を、新たな市場に対して適応させていくことで成長を図ろうとする戦略のことを指します。
新たな市場とは、日本から海外への展開、あるいは別の顧客層への展開が考えられます。
この場合は、マーケティング上のシナジー効果(相乗効果)が期待されるケースに有効です。
ここでいうマーケティングとは4P(Product / Place /Price /Promotion)をフレームワークにしてみます。
マーケティングについては、こちらのコラムも参考にしてください。(私が感じるマーケティングに対する誤解)
◯Placeとは流通チャネルを指します。
新市場へ展開する際に、その地域や顧客に強いビジネスパートナーとのアライアンス、あるいは直接販売によるテリトリー戦略が考えられます。
◯Pricingとは価格戦略を指します
が、新市場に同じ価格帯で展開すべきかそうでないかを新市場の購買動向を調べながら検討してみます。
◯Productは既存製品のことを指します
が、新市場向けにパッケージ販売/セット販売を行ってみるのも一つのアイデアです。
◯最後にPromotionは販売促進のことを指します
既存市場での認知度やマーケティング力を生かして新市場へのプロモーションを展開していく・・・これはコストや生産性の面でも効果的な方法です。
新規市場・新規製品 (多角化戦略)・・・右下
製品分野、市場分野ともこれまでにはない全く新しい分野に進出していくことで成長を図ろうとする戦略のことを指します。既存市場(顧客)、あるいは既存製品からの横展開ではない分、他のマトリックスのオプションに比べリスクが大きくなります。
この分野は
・リスクが高い分、成功すれば高いリターンが見込める
はずです。
基本的には成長率の高い市場にそのニーズにあった製品や事業を展開するわけです。従って以下の2点が重要になってきます。
1.新規事業を行う場合、本業と同様、勝たなくては意味がありません。
2.「市場が成長しそうだから」安易に多角化に走るのではなく、コア(会社の強み)との相乗効果を考える。あるいは市場のライフサイクルをみながらコアの海外展開や地域展開といった代替案(あるいは継続投資)、また競合の動きを「冷静に」見極めることが重要です。
置かれた環境に応じた戦略・戦術などを強力な意志で実行するとともに、適合しなくなった戦略・戦術などを思い切って捨て去る(撤退する)ことが大事だ、ということです。
そのためには計画段階から撤退基準もしっかり準備することが重要です。事業投資した以上、命がけで成功させるのは当然ですが、「撤退も重要な戦略オプション」ということを肝に銘じて事業投資を実行すべきということです。(これは孫子の兵法にもでてくる発想ですね!)
既存市場に対するコア製品と差別化要素を見極めながら、新製品を投入する(クロスセル)が定石とよばれていますが、戦略に応じて新市場への展開や(狭義の)多角化のオプションもあります。新市場への展開においてはアライアンスやM&Aといった展開方法もあります。
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