このまま今のキャリア、今の人生でよいのか? と思うことがあります。
そこでぜひ考えてみたいのが「人生戦略」です。ただ闇雲に日々を生活するのではなく、何をして、何をしないかを決めて行動することでより良いキャリア、そしてより良い人生を築くことができるのです。
今回は人生戦略を作成する秘訣と3つのステップについて説明します。
では、はりきっていきましょう!
30代のビジネスパーソンが持つ3つのネガティブな感情
一生懸命仕事をしても、将来の収入が保証されているわけではない時代の変化。むしろ、「いつか収入が落ちるのではないか?」という不安。また、「体力まかせで仕事をしていて、いつか体に限界が来ないか?」という不安。そして、プライベートでも、家族のこと、両親のこと、そして自分の老後のことなど、さまざまなことが日々頭の中をよぎります。
30歳に近づき、それを過ぎだしたビジネスパーソンのネガティブな感情は以下の3つに大別できます。
- 将来の生活の安定に向けて、自分でなんとかしなければならない「不安」
- 漠然とした「不安」に対して、ただ時間だけがすぎていくことへの「焦り」
- 短期的に成果を出さないと、周囲から取り残される「恐れ」
そして、私が30歳を迎える時期にはっきりとわかったことは、「ただ漠然と日々を過ごしているばかりではダメだ」ということでした。そして「何を意識して行動すればいいのか?」その明快な答えを探しはじめました。そこでわかったことは以下の3つのことをはっきりさせることでした。
- 今やるべきこと
- 将来目指すべきこと
- 自分が大切にすべきこと
そして40代になった今、この要素は30代も、40代も「普遍的」なものだとわかりました。それはなぜでしょう?
40代で「将来が広がって見える人」と「将来が狭まって見える人」
別に現状維持で人生や仕事を楽しめばよいですが、「このまま目先のことばかりに追われてよいのか?」という思いは年齢を重ねるごとに大きくなり、40歳に近づくと一つの山場を迎えます。
私が30歳を迎える時期にはっきりとわかった「ただ漠然と日々を過ごしているばかりではダメだ」ということ。これは40歳を超えて間違っていなかったことを証明できました。
生々しい話をすると、40歳になるころには「将来が広がって見える人」と「将来が狭まって見える人」がだいたい分かれてきます。そうならないために、どうしたらよいかを伝えるのはこのブログで30代向けの読者にお伝えしたい話です。もちろん40代の読者にも、まだまだチャンスはたくさんあります。
もちろん自分自身が「将来が広がって見える人」と思っていますし、選択肢がいろいろとあります。しかし、それが未来にずっと続くわけではありません。だから、定期的(少なくとも1年に1回)に人生戦略を書き換えていきます。
それは人生戦略におけるPDCAサイクル(Plan-Do-Check-Action)ともいえます。
小難しいことを毎日考えているわけではありません。むしろいったん方針が決まったら、毎日小難しいことを考える必要がなくなり、今やるべきことに集中できます。すると余裕が生まれます。そして毎日ビクビクして生活する必要がなくなると、仕事以外の趣味や勉強に集中することができるようになります。
社会人人生をざっくり20歳~60歳で考えると40歳はその中間地点。マラソンでいうと折り返し地点と言えます。後半の体力を残しておかないと、人生を走り切れないかもしれません。しかも、人生100歳まで長生きする時代になると、その山場は50歳、60歳と変化していくでしょう。
「何からはじめていいかわからない」からこそ「人生戦略」が必要
以下の3つのネガティブの感情に対して、3つのことをはっきりさせることで人生戦略の骨格が見えてきます。
- 将来の生活の安定に向けて、自分でなんとかしなければならない「不安」
➡ 今やるべきこと - 漠然とした「不安」に対して、ただ時間だけがすぎていくことへの「焦り」
➡ 将来目指すべきこと - 短期的に成果を出さないと、周囲から取り残される「恐れ」
➡ 自分が大切にすべきこと
30代に向けたこの3つの質問がはっきりしないのは、あたかも行くあても、目的も知らないドライブをしているようなものです。「目的地」がわからず、「ルート」がわからず、選択肢が出たときの「判断基準」がないと、「なんとなくあっち」に向かって燃料をムダに使いながらフラフラと運転をしてしまいます。
逆に、この3つがはっきりすると「何からはじめていいか」がわかります。たとえばドライブの例で説明すると、
- 目的地がどこかを地図を見ながら俯瞰する(全体俯瞰とゴールの把握)
- ガソリン、馬力、乗車人数、詰める荷物、運転できる体力等を把握する(自分の能力把握)
- 途中どこで食事、休憩、ガソリンスタンドに寄るかを考える(選択肢)
- 途中に渋滞がないか、工事がないかを把握する(リスク管理)
- 上記をふまえルートを設計する(目的地までの時間軸と実行ステップ)
- 渋滞や疲労による集中力低下に備えて休憩も考えておく(長期シナリオ)
といった具合です。(※ナビに頼るのはこの例ではなしで 笑)
ガソリン・時間・体力が無限大にあればいいでしょうが、そうはいかない。だから「何に集中して」「何を諦める」かを取捨選択し、できるだけ最短で目的地にたどり着きたい。
その「何からはじめるとよいか?」を考えるのが「人生戦略」です。
でも、いきなり上述のようなことを考えるのは大変。だから私は次のようなことを考えていけば、自然と人生戦略ができるようにしています。
「何からはじめるとよいか?」はミニサクセスストーリーから
いきなり戦略コンサルタントのように、巷の戦略理論を持ち出して人生戦略を作成するのは難しいでしょう。
そこで、私が考えた方法は「一行で書く日記」。
これを私は「成長日記」と読んでいます。
えっ、それだけ?
その心は「1日1日の“小さな”成功体験の蓄積と、それらの再現で人間は確実に“大きく”成長する」ということです。過去の成功を垂れ流しにせず、再現性をもたらすのです。
「成功なんて自分にはない」と思うあなた。ここで言っているのは「小さな成功体験」。自分の「ミニサクセスストーリー」です。
それは、「ダイエットで1キロ減量」、「いつもより1時間早く早起きして勉強した」、「会社で10分のプレゼンがうまくいった」などさまざまです。
おそらく、あなたが知っている日記とは全く違ったものになると思います。
私が今からお伝えする方法で成長日記を書いていくと、自分が成長しているのが一目瞭然。ワクワクするほどわかるようになります。まずは、慣れるまであなたが普段持ち歩くノートで実践してみてください!
このノート術には、様々な細かい工夫が施されています。
こちらが私の成長日記(英語で書いていました)ですが、現在ではiPadを使って電子ノートで成長日記を書いています。要領は全く同じです。
ノートに書く「ミニサクセスストーリー」って一体何だ!?
私の成長日記では、あなたが感じた ミニサクセスストーリーを1日最低1行ほど書きます。
ミニサクセスストーリー??
それはあなたが一日の行動で「うまくいった・うまくできた」と感じた小さな成功体験談です。
うまくいったことであれば、どんな内容でも構いません。
例えば
・今日は朝早く起きることができた
・プレゼンで時間通りに話すことができた
など、まずは些細なことでいいので1行書いてみてください。
ここで強調しておきたいことがひとつあります。
成長日記に1行書く内容はうまくいったこと 。
つまり経験をとおして「俺(私)、こんなことできたんだぁ~」という自分自身における学びを書きます。
自分が「できる・できた」という「成功体験」であることが、とても重要なんです。
多くの人が自分の成功に気づいていない!?
なぜ、こんなことを言ってるかと言うと、「 多くの人が自分の成功に気づいていない 」からです。
成功というと「大きな目標」を達成した状態をイメージしてしまう。
でも、一番重要なのは、もっと目先にある日々の行動の結果から何を学び、何をアウトプットしたか?日々の「小さな成果」を積み上げること。
多くの人がその重要さに気づいていないのです。
あるいは、わかっちゃいるけど「行動」に移せていない。
多くの人が自分の成功を分析していない!?
そして、多くの人が自分の失敗はよく分析するけれども、「成功」を分析していないのです。
例えば今日1日、
- プレゼンがいつもよりキレ味よかった
- 会議の準備、段取りがよかった
- 分析で新たな発見をしてくれた
など、こうした成果を出した部下を褒めて、「なんでうまくできたの?」って聞くと、明快な答えが出てこないのです。
そもそも何で褒められたか本人がわかっていない。
つまり、ミニサクセス(小さな成功体験)を毎日のように見過ごしている 人が多いのです。
日々の 小さな成果に気づき、その成功分析をすること。
これは、大きな成果を出すためにとても重要なことなんです。
小さな成果を確実に出していかないで、大きな成果なんて出せません。
繰り返し言います。
日々の小さな成果に気づき、その成功分析をすること。
これがどんなに能力の差があっても確実に大きく成長できる方法なのです。
なぜなら
- 私自身がそれを実践して大きく成長し、今も継続(10年以上進化)
- 自部門に入った21名の新卒社員部下をまとめて成長(翌年、グローバル会議で成功事例として発表。 その後グローバル全地域で新卒採用を開始)
- 自分が昇格する度に、毎回部下を部長に昇格(後継者育成)
- 自分よりも10歳以上離れている40代後半の(なかなか変わらない)シニア社員部下をやる気に
- 日本人だけでなくアメリカ人、ドイツ人、中国人などの外国人部下を「日本」で昇進
など、これらはあくまで一例ですが多くの人がこの成長日記で成長できたからです。
まずはそれができるように習慣化していくことが重要です。
成功体験はたったの1行で書く(そして進化する)
面倒なことは言っていません。
たったの1行です。
以下に例示してみます。
1日に最低一つ、以下のように成長日記に1行書いていく要領です。
月曜日:会議の資料準備がうまくいった
火曜日:プレゼンしてたくさんの質問をもらった
水曜日:残業をしないよう仕事を早く片付けられた
木曜日:上司との会食で、仕事のやり方のアドバイスをもらった
金曜日:友達と飲みにいって元気づけられた
こんなのでいいのですか?
と言われそうですが、それでいいのです。
この内容が日増しに「進化」していきます。
例えば、私の数年前の成長日記はこんな感じです。
月曜日:職場環境改善計画が奏功し経営会議で好評
火曜日:常務に対する部下の企画発表が成功
水曜日:部下が自発的に企画書を作成
木曜日:◯◯社役員と会食をし協業関係を大きく前進
金曜日:グローバル企業トップ向けプレゼンで協業案に合意
土曜日:スタジオに入り次のライブに向けた演出案が浮かぶ
日曜日:温泉に行き、新しい企画案を発見
成長日記に成功体験を書いていくと、後からそれをふり返ったとき、自分の成長が一目見ただけでわかります。
自分の成長が目で見てわかるので、おのずと「自信」がついていきます。
自信がつくと、ついつい楽しくなってきて、「継続」することができます。
継続すると、仕事力がどんどん向上します。
日記の成功体験を分析すると、自分が成長する!
さらなる成功がやってくる!
プラスサイクルを生む重要なキーワード。
それが「ミニサクセスストーリー」です。
あなたが一日の行動で「うまくいった・うまくできた」と感じた「ミニサクセスストーリー」を日記に1行書くことができましたか?
まずは練習と思って、何でもよいので一つ考え出してみてください。
そして来週までに毎日一つずつ5日分のミニサクセスストーリーをノートに書いてみてください。
この内容があなたの成長の「原資」になります。
たとえば会社で10分のプレゼンがうまくいったらその、自分が思ううまく言ったポイントをノートに一行で記録。そしてその成功体験を次に再現したらゼロベースでやるより圧倒的に成功確率は高いです。
このように「次は20分で」、「30分で」、「違うテーマで」と小さな成功体験を積み重ねていった私は自分だけの「プレゼン成功パターン」、言い換えると「プレゼン成功データベース」をノウハウとしてノートに蓄積し、世間的にはそれなりのプレゼンターに成長しました。
あなたの戦場で成功する確率を上げる、あるいは失敗する確率を下げる。競争相手よりも確実な成果をあげるための強みを発揮する。これは立派な戦略です。
まずは小さなところから戦略をつくり、自分の成長に応じて大きくしていけばよいのです。ノートに一行日記を蓄積して、それを振り返ると「目に見えて」自分の成長を確認することができます。
私なりに工夫したのが「一行日記」、そして「人生戦略」。1日一つ、小さな成功体験をノートに記録し、それを20年以上継続するとそれはとてつもない財産です。
小さな成功体験を積み重ねて人生戦略を作る
こうしてノートに蓄積してきた「一行日記」。言い換えると「小さな成功体験」。
人は成功すると楽しくなり、次にもそれがしたくなり、さらには他にもやりたいことが出てきます。
この「次にもやりたいこと」「他にもやりたいこと」はそのルーツをたどるとあなたの成功体験の蓄積。つまり「強み」といえます。逆に、そうしたくてもそれができない理由、それはあなたの「弱み」であり「強化や改善が必要なスキル」です。
これが「何から始めるか?」を瞬時に見つける最も確実な方法です。
まずは、一行日記を続けて「次にもやりたいこと」「他にもやりたいこと」に挑戦。そしてその「小さな成功体験」を積み重ねて、「さらにやりたいこと」に挑戦。この繰り返しです。
そうこうするうちに、ノートに、そして体で人生戦略を作成する材料がたまってきます(やりたいこと、やるべきこと、強み、弱みなど)。
人生戦略を作成する秘訣と3つのステップ
企業が「戦略」を作成するために知っておいて損はしないステップというものがあります。
これを「フレームワーク」と言い換えることができますが、私はINSEAD大学の「戦略理論」で学びました。世の中で戦略を考える上での定石があるのだから、それを人生戦略に応用しない手はありません。
ここでは勉強も兼ねて、戦略を作成する3つのステップを人生に応用して考えてみます。
1. 世の中を知り、少しでも将来に視点を向ける
まずは自分の身の回りで何が起きているかをざっくりとでも知ることが大切です。「今後どんなスキルが求められるか?」、「自分の10年先の人生を送っている人は何に困っているのか?」、「果たして今自分がやっている仕事がこの先もニーズがあるか?」といったことに少しでも敏感になることです。
ただ闇雲に目の前のことを頑張ることは大事です。しかし、自分がやっていることがもしこの先将来がなかったら? それを知っているのとそうでないのでは人生の選択肢は大きく異なります。まずは世の中(外部環境)を知ることです。そして少しでも将来に視点を向けるのです。そのためには記事の斜め読みでもいいので、新聞や雑誌、あるいは書籍から自分に関係しそうな内容を常にチェックしておくことが重要です。
当ブログではこちらにそうした内容を整理していきます。その中で以下のコラムを特にご参考に。
- ピーター・ドラッガーに学ぶ人生戦略と7つの仮説
- コリン・パウエルのルール「自戒13ヶ条」に学ぶ人生戦略
- クリステンセン氏「イノベーション・オブ・ライフ」から学ぶ3つのこと
- 世界第一級のメンターの「夢を実現する戦略ノート」からの学びは大きい
2. 己を知り、何から手をつければいいかを整理する
そして、己を知ることが大切です。具体的には自分の強みと弱みを知ることです。「将来こうしたい」「今こうしなければならない」といったことがわかっても、自分が強みを生かしてすぐに行動に移せるものと、弱みを磨き込むか誰かに助けてもらいながら行動に移せるものとあります。これは、就職活動をした人なら誰もが整理したことがある内容でしょう。しかし、就職して定期的に整理する人はあまりいません。先述した通り「世の中を知る」と強みや弱みをどう発揮し、克服していくかが変わってくるのです。
つまり、世の中の変化とあなたの強みと弱みは連動していきます。それを整理するフレームワークが「SWOT分析」です。企業戦略で今なお使われているフレームワークですが、人生戦略を考える上でも大変効果的です。
こうしてあなたが「何から行動に移すべきか」を考える上での「判断基準」が整理できてきます。これを、「KSF(重要成功要因)」と呼びます。これは「要は自分は◯◯からやればきっとうまくいく」を見つけるのです。例えば世の中がよりグローバル化していけば英語を使ってやる仕事で重要視されるものが何か? それを考えるのも一つでしょう。ここでのKSFは「グローバル視点」です。あるいは「どんな業界にも通用する営業力がこれから求められる」と思えば、「どんな人ともつながれるネットワーク力の構築」がKSFの一つでしょう。考えればいろいろと出てくるでしょうが、自分ができることは有限です。重点的に取り組むことを整理し、行動する内容を絞りこんでいくのです。
当ブログではこちらにそうした内容を整理していきます。その中で以下のコラムを特にご参考に。
3. アクションに落とし、進捗を頭に入れる
こうして、「自分が何をすべきか?」が見えてきたら実行計画に移すことです。具体的には、アクションリストを作成するのです。このアクションリストは「◯◯をいつまでにやる」といった期限付きで必ず作成します。その期間は年間計画でもいいし、大きな計画だったら3〜5年計画でもよいでしょう。
ただし、実行計画を「そのまま進めてよいか、軌道修正すべきか」を判断するチェックポイントを作っておくとよいでしょう。カジノでいうと「ここまでいったら一旦作戦会議を考える」「ここまでだったら一旦諦める(泥沼にはまらない)」といったチェックポイントです。これはビジネスの世界ではKPI(Key Performance Indicator: 業績主要評価指標)と呼ばれるものに相当しますが、人生戦略においてはそこまで過敏になる必要はないでしょう。ただ、ざっくりとでも「Go」か「Stay」かを適宜判断できるようにしておきましょう。
当ブログではこちらにそうした内容を整理していきます。その中で以下のコラムを特にご参考に。
- PPM(プロダクトポートフォリオ管理)を使った人生戦略
- 人生戦略ノートの「未来レジュメ」で自分の将来を描いてみる
- MBAを人生戦略として応用する「着眼点」
- BHAGとは?人生を賭けた「大胆」な人生戦略をつくろう
では、「私の「人生戦略」とブログの全体構成」をご紹介します。
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